セキュリティベンダー各社は、さまざまな手段を使ってフィルタを潜り抜け、拡散するマルウェアについて警告している。MSパッチを装いダウンロードを促すもの、USBメモリを介して感染するもの、PDF形式でフィルタを潜り抜けるものなど、ユーザーのパソコンを感染させるためのあの手この手が日々生み出されている。
■マイクロソフトの修正パッチを装うトロイの木馬
セキュリティベンダー各社は先月27日までに、マイクロソフトの修正パッチを装うトロイの木馬(トレンドマイクロ名:TROJ_AGENT.VII)について警告した。「マイクロソフトから」を装うスパムメールに従って修正パッチ「MS07-0065」と称するプログラムをダウンロードすると、感染してしまう。
同スパムメールは「Microsoft Security Bulletin MS07-0065 - Critical Update」というタイトルで、「Outlookの脆弱性を突かれ、10万台以上のコンピューターがバイアグラやシアリスなどの販売促進に利用された」などとして、ユーザーを偽パッチのダウンロードサイトに誘導する。ここでダウンロードされる偽パッチが、実はトロイの木馬という仕掛けだ。マイクロソフトがユーザーにメールでパッチ情報を提供することはありえない。だまされないように注意したい。
・FAKE Microsoft patch email -> Fake Spyware Doctor![英文](SANS)
http://isc.sans.org/diary.html?storyid=3054
・Don't download Microsoft Security Bulletin MS07-0065! [英文](ソフォス)
http://www.sophos.com/pressoffice/news/articles/2007/06/bogusmspatch.html
・TROJ_AGENT.VII[英文](トレンドマイクロ)
http://www.trendmicro.co.jp/vinfo/virusencyclo/default5.asp?VName=TROJ%5FAGENT%2EVII
■偽「ハリー・ポッター最新作」を装うワーム~USBメモリを介した感染も
英ソフォスは先月28日までに、人気ファンタジー小説「ハリー・ポッター」シリーズの最新作「ハリー・ポッターと死の秘宝」(課題)を装ったワーム(ソフォス名:W32/Hairy-A)について警告した。
同ワームに感染したユーザーがUSBメモリを自動実行する設定で使用すると、USBメモリに「HarryPotter-TheDeathlyHallows.doc 」というファイルを書き込まれる。このファイルには「Harry Potter is dead.」とだけ書かれている。同ワームに感染したUSBメモリを使用すると、ワームはパソコンにも感染し、パソコンの新規ユーザーとして「ハリー・ポッター」シリーズの3人の主役「Harry Potter」「Hermione Granger」「Ron Weasley」を作成。ログインすると、バッチファイルで「読め、そして後悔せよ」といったメッセージを表示する。さらにユーザーのInternet Explorerの設定を変え、起動時の表示ページをAmazon.comの「ハリー・プッターとチーズケーキの部屋」という題のパロディー本の購入ページにしてしまう。
ソフォスではUSBメモリによって感染するマルウェアが増加する傾向にあるとして、USBドライブを自動実行しない設定にすることを勧めている。
・Harry Potter worm claims teenage wizard is dead [英文](ソフォス)
http://www.sophos.com/pressoffice/news/articles/2007/06/hairy.html
・W32/Hairy-A(ソフォス)
http://www.sophos.co.jp/security/analyses/w32hairya.html
■株価を操作するスパムをばら撒くワーム~PDFファイルでフィルター逃れ
米マカフィーのセキュリティ研究機関「McAfee Avert Labs」は26日、株価を操作するスパムメールについて警告した。
このスパムメールはいわゆる「Pump and Dump」という株価操作スパムでワーム「W32/Stration@MM」に感染したコンピューターから送信されると見られている。メールはランダムな件名や送信者名で送りつけられる。本文は空白のままだが、株価を操作するための特定企業に関する偽の情報が記載されたPDFファイルが1つもしくは複数添付されている。迷惑メールフィルタをかいくぐるために本文をPDFファイルに記載し、ファイルの文字もスキャンされにくいように文字の並びや形を崩した上で、画像にして貼り込まれている。編集部でも同様のメールを受信した。偽の情報にだまされないよう注意したい。
・PDF Spam Outbreak[英文](McAfee Avert Labs Blog)
http://www.avertlabs.com/research/blog/index.php/2007/06/26/pdf-spam-outbreak/
・Pump and dump scams now in PDF [英文](SANS)
http://isc.sans.org/diary.html?storyid=3012
・W32/Stration@MM(マカフィー)
http://www.mcafee.com/japan/security/virS2006.asp?v=W32/Stration@MM
(2007/07/03 ネットセキュリティニュース)