B型Rhマイナスの献血を募るチェーンメールが大量に出回り、舞台となった病院や学校に問い合わせが殺到。業務に支障が出るほどの大混乱を招いた。
「他の人にも転送してください」「他の人にも知らせてください」などと書かれたメールは、受け取った人がそれを実行することによって無限に連鎖・拡散し、収拾のつかない事態を招いてしまう。たとえそれが善意のものあっても、その内容が真実であったとしても、チェーンメールは内容のいかんにかかわらず全て混乱を招く迷惑メールそのものであり、決して出したり転送したりしてはいけない。
今月20日ごろから出回り始めたのは、「3歳の子供が急性リンパ性白血病になり昭和医大に入院。RhマイナスB型の血液が足りないので助けてほしい」というもの。「回さないと殺すぞ」などという悪意のチェーンメールではなく、困っている人を助けようという善意に訴えかける内容だった。そんなメールは、心優しい多くの人たちの手によって瞬く間に増殖し、名指しされた昭和大学病院や献血事業を行っている日本赤十字社には問い合わせが殺到。業務に支障を来たす事態となった。
昭和大学病院は21日、「メールは同院と一切関係ない」とする緊急告知をホームページ(HP)に掲載。日本赤十字社も22日、「B型Rhマイナスの輸血用血液は不足しておらず、過不足などが生じた場合でも速やかに供給する体制を整えている」とするお知らせをHP掲載し、事態の収拾に乗り出した。翌23日には、「仙台高校の生徒が急性白血病で倒れ、RhマイナスB型の血液の人を探している」という内容のチェーンメールも発生。名指しされた同校に問い合わせが殺到し、同校は24日朝「事実無根なので問い合わせはしないでほしい」とHPで呼びかけた。
今回と同じB型Rhマイナスの献血を呼びかけるチェーンメールは、2003年4月にも発生しており、骨髄移植推進財団や日本赤十字社に問い合わせが殺到した。2000年5月には、AB型Rhマイナスの妊婦が手術するという内容で同様のチェーンメールが流れ、日本医科大学多摩永山病院が対応に追われた。この2000年の事例では、内容そのものは事実だったのだが、病院の感知しないチェーンメールが、診療に支障の出る事態を招いてしまったことに変わりはない。
もしあなたが今後、転送を呼びかけるメールを受け取ったなら、あるいは、そんなメールを出そうと思うようなことがあったら、その時には、どうか冷静に考えていただきたい。それは、ネズミ算式に増殖を繰り返しながら暴走して行く、制御不能のメールを送り出すことなのだということを。もしあなたが、メールに書かれた内容を問い合わせたいと考えたのなら、そこには鳴り止まない電話に悲鳴を上げている人たちがいるのだということを。チェーンメールは、どのような内容のものであっても例外なく、迷惑な行為になってしまうのだ。
(2008/2/25 ネットセキュリティニュース)
■緊急のお知らせ!(昭和大学病院)
http://www.showa-u.ac.jp/hospital/hatanodai/SUH/notice_20080221.html
■B型Rhマイナスの血液に関するチェーンメールについて(日本赤十字社)
http://www.jrc.or.jp/info/1350.html
■緊急;チェーンメールについて(仙台高等学校)
http://www.sendai-c.ed.jp/~sendaihs/chainmail/chainmailtop.htm