インターネット掲示板などへ殺人予告が書き込まれ、警察が書き込み者を突き止めてみると、子どものいたずらだったという事件が相次いだ。
先月15日に「埼玉県の小学生4年生女子を殺す」と書いたのは小学4年生の女児、今月3日に「福岡県内の小学生を殺す」と書いたのは少年で、書き込みの状況等から、どちらも”軽い気持ち”で書き込んだと推測される。しかし、通報を受けた警察、連絡を受けた県や市町村の教育委員会は対応に追われ、書き込んだ児童らはイタズラではすまない処置を受けることとなった。
■動画サイトのコメントで殺人予告、千葉県の小4女児を児童相談所に通告
動画投稿サイト「ニコニコ動画」のコメント欄に2月15日、「埼玉県の小学校の女児を2月29日13時に殺します」と書き込まれた件で、埼玉県警は今月4日、千葉県在住の小学4年生女児(10歳)を、さいたま市児童相談所へ軽犯罪法違反(業務妨害)で通告した。女児は書き込んだことを認め、「いたずらでやった」などと話しているという。殺害予告は2月15日19時40分頃、アニメ動画に対するコメントとして書き込まれた。この動画を見たユーザーが殺害予告に気付き、サイト管理人に削除を依頼。同日中に削除されたが、通報を受けた警視庁が埼玉県警に連絡し、県警は県内の市町村教育委員会などに児童の安全確保を通達した。
■ネット掲示板に殺人予告、福岡県の小6男児を児童相談所に通告
インターネット掲示板「2ちゃんねる」に今月1日、「福岡県内の小学生を殺す」と書き込まれた件で、福岡県警は通信記録から特定した福岡県在住の小学6年生男児(12歳)を軽犯罪法違反(いたずらによる業務妨害)の非行事実で児童相談所に通告した。少年は1日午前12時頃、同掲示板に「3月3日(月)に福岡県内の小学生を殺してみる」というタイトルのスレッド(※1)を立てた疑い。3日朝、警視庁が外部から通報を受けて県警に連絡。県警は県内教育委員会に児童の安全確保を通達するとともに、パトロールを強化した。少年は書き込みの中で、「ニュースにしたいからと書き込んでみた」「釣り(※2)」「あくまで自殺」などと、本気ではないことをほのめかしていた。
■ネット掲示板に殺人予告、福島県の18歳少年を補導
インターネット掲示板「2ちゃんねる」に今月5日、「福島県の小学生を殺す」と書き込まれた件で、福島県警は福島県在住の少年(18歳)を軽犯罪法違反の非行事実で補導した。少年は5日午前11時頃、同掲示板に「福島県の小学生殺してみると書き込み」というタイトルのスレッド(※1)を立て、「まあ殺すのは本当なんだ」「3月24日の4時24分に殺す。と福岡県内の小学生殺すと書き込みした少年の言葉」などと書き込んだ疑い。少年は6日未明、福島署に「いたずら目的で自分がやった」と電話で連絡した。「進学先が決まったが、やっていけるのか、という不安から書き込んだ」「他県をまねた」などと話しているという。福島県内の小学校では5、6日、書き込みが見つかったことを受けて、児童の安全確保のため、集団下校などの対策が取られた。
※1)1つの話題に対する発言をまとめる掲示板内の1コーナー。スレッドを立てるとは、新たな話題に関するコーナーを作る行為を指す。
※2)2ちゃんねる用語で「他人を騙す行為」を指す。
■ネット掲示板に繰り返し殺人予告、「和歌山県の中学1年生を殺す」
インターネット掲示板「2ちゃんねる」に今月4日、「和歌山県の中学1年生を殺す」などと書き込まれた件で、和歌山県警は、業務妨害にあたるとして、通信記録にもとづく発信元の特定を急いでいる。書き込みは4日18時前後に、掲示板内の4つの板に1回ずつ書き込まれた。内容は「和歌山県、○上中学校」または「和歌山県和歌山市の○○中学校」の中学1年生の特定生徒を3月5日に殺害するというもので、「恨みをはらしてやる」など怨恨をほのめかしていた。4日夜に県警に市民から連絡があり、県警が各市町村教育委員会に注意を呼びかけた。
上記の4番目の事例-和歌山県の中学生殺害予告の書込み者が子どもかどうかは現時点では不明だが、このような殺害予告を、”いたずらのつもり”で安易に行えてしまう環境に、現代の子どもたちが置かれていることは確かだ。ネットのない時代なら、学校のトイレや壁に「××を殺してやる」などと書いても、先生にバレて叱られるだけですんだだろう。しかし、ネットを介するとそうはいかない。
子どもが出来心でネットに書いた「殺してやる」は「殺人予告」という犯罪になり、たとえ殺人の意思がなくても、脅迫や威力業務妨害などで家庭裁判所に送致、または児童相談所に通告される場合がある。子どもたちが軽い気持ちでいたずらの範囲を超えてしまわないよう、日頃からインターネットの使い方や書き込んでよい場所、内容などにつき、話し合っておきたい。
(2008/03/07 ネットセキュリティニュース)