日銀に続いて関西電力からWinny(ウィニー)による情報流出が公表された。今回もまた、掲示板に流出情報とともに流出物の見本画像へのリンクが書き込まれていた。
かつてはマスコミが先を争うように流出物を採取し、中身の暴露合戦を展開していた時期がある。ダウンロード専用のツールを用意していたのかどうかは定かではないが、Winnyを使ったダウンロードがアップロードと等価であることが知られるようになるにつれ、水を引くようにダウンロード合戦は収束。昨年4月には、北海道新聞社の記者がWinnyを使用してダウンロードしたことを、自社のブログで告白するという事実もある。
そんな状況を反映してなのか、いたずらに騒ぎを大きくしたいのか、このところ流出したドキュメントの一部をわざわざキャプチャし、ウェブサイトに投稿するケースが増えている。関西電力の流出情報には、顧客情報や機微情報は含まれておらず、掲示されていた画像も最低限の加工が施されてはいたが、流出情報のみならず内容までアクセスが容易なウェブサイトに掲載するのはいかがなものか。
過日の日銀の場合には、秘匿すべき情報がウェブサイトに投稿された。その後も転載が繰り返され、日銀は対応に追われた。根本的な問題は機密情報の流出を招いた日銀にあるが、誰にでも容易にアクセスできるところに掲示されたことによるダメージは計り知れない。
■関西電力、Winnyのウイルス感染で業務情報流出
関西電力(本店:大阪市北区)は25日、同社社員のパソコンがウイルスに感染し、業務情報がWinnyネットワーク上に流出したと発表した。
同社によると、流出したのは竣工検査実施計画書や工事工程表などの工事関係書類と、当該社員が業務の成果を自己評価したシートなど。顧客情報や機微情報などは、含まれていない。今月17日にネット掲示板に流出情報が書き込まれ、外部からの指摘で18日に流出を確認した。
同社は、情報流出が社会に多大な不安を与えることを改めて全従業員に周知するとともに、私有パソコンで業務情報を扱わない、私有パソコン内に業務情報がある場合には全て削除するなどの再徹底を図るとしている。
・当社社員の個人所有パソコンからの業務情報流出について(関西電力)
http://www.kepco.co.jp/pressre/2007/0807-1j.html
■鳥取県、Winny情報流出で日本銀行に抗議
日本銀行松江支店の内部情報がインターネット上に流出した問題で、鳥取県は24日、日銀の白川方明副総裁(総裁代行)と松江支店長あての要請文を、日銀鳥取事務所長に手渡した。
要請文では、流出情報に島根、鳥取両県の企業の重要な内容が含まれており、厳しい経済状況で必死の経営努力を続けている企業とって大きな脅威となり遺憾だと抗議。風評被害防止への対応と、流出事故により企業経営に影響を受ける個々の企業に対する支援措置などを要請した。
・日本銀行松江支店の内部情報流出に対する要請ついて(鳥取県)
http://db.pref.tottori.jp/pressrelease.nsf/5725f7416e09e6da492573cb001f7512/DEEB069D348CAF9C49257416001AB74F?OpenDocument
・要請文[PDF](鳥取県)
http://db.pref.tottori.jp/pressrelease.nsf/5725f7416e09e6da492573cb001f7512/deeb069d348caf9c49257416001ab74f/$FILE/youseibun.pdf
(2008/03/26 ネットセキュリティニュース)