2009年上半期、児童ポルノ事件の摘発件数と被害児童数が、統計を取り始めた2000年以降最多となったことがわかった。
6日に警察庁が公開した「少年非行等の概要(平成21年上半期)」からは、児童ポルノや児童買春などネットで被害にあう子どもの姿が浮かび上がる。その被害実態をみてみよう。
●「児童ポルノ」~海外サーバやShareを使った公然陳列
今年1月から6月に全国の警察が児童ポルノ禁止法違反で摘発した事件は382件で、前年同期を82件上回っている。また、そのうち194件がインターネットにかかわるものだった。摘発人数は289名で101名の増加。被害にあった児童は218名で、74名増加している。
【事例】◇無職男性(35歳)が凶器を使って監禁したり、家出サイトで児童を物色するなどして約10年間にわたり、多数の男子中・高校生に児童買春や強制わいせつ等の行為を行い、それを撮影した画像を海外サーバを利用して公然陳列した。◇塾講師(44歳)ら2人が、ファイル共有ソフトShare(シェア)を使って児童ポルノを公然陳列した。◇会社役員(44歳)が芸能プロダクションを装ってレースクイーンを募集し、スカウトした女子中学生(14歳)の衣服の全部を着けない姿態を撮影して児童ポルノを製造し、自宅のハードディスクに保存した。
●「児童買春」~出会い系サイトを利用する弁護士や教職者も
児童買春事件の摘発件数は前年同期より38件多い557件。そのうち218件が出会い系サイトにかかわるものだった。摘発人数は465名で34名の増加。被害にあった児童は435名で、8名増加している。
【事例】◇弁護士(58歳)が3月、出会い系サイトで知り合った女子高校生(16歳)に現金を渡してわいせつな行為を行った。◇小学校教諭(47歳)が昨年6月、出会い系サイトで知り合った女子中学生(14歳)に現金を渡してわいせつな行為を行った。
●「児童に淫行させる行為」~会社員、スカウトマン、実母など
児童福祉法違反で摘発された事件でネットに関連したものとしては、以下の「児童に淫行させる行為」例がある。
【事例】◇会社員(32歳)が出会い系サイトで知り合った女子中学生(14歳)と金を払う約束をして待ち合わせたが、金を払うのが惜しくなり「俺は補導員だ。深夜はいかいと援助交際で補導する」と告げてわいせつな行為を行った。◇芸能プロダクションのスカウトマン(37歳)が、携帯電話の交流サイトに登録したタレント志望の女子中学生(14歳)を「君ならモデルになれる」と誘い、レッスンと称してスタジオ内でわいせつな行為を行った。◇実母(35歳)が出会い系サイトで客を募り、娘の女子中学生(13歳)と女子高校生(15歳)を待ち合わせ場所に送迎して遊客にわいせつな行為を行わせ、客が支払った金の一部を受け取った。
●「インターネット利用事件」~プロフ削除や犯罪予告
少年がネットで行った非行事例としては、不正アクセス、および犯罪予告による威力業務妨害事件が紹介されている。
【事例】◇昨年11月に女子高校生と無職少年(いずれも16歳)が中学校時代の同級生だった少女になりすまして携帯電話のプロフにアクセスし、少女のホームページを削除した(不正アクセス事件)。◇男子高校生(15歳)が4月、携帯電話を使ってネット掲示板でバスジャック実行を予告した(威力業務妨害事件)。◇男子高校生(17歳)が2月、自宅のパソコンを使ってウィキペディアに東京ビッグサイトのイベント会場で参加者を皆殺しにすると書いた(威力業務妨害事件)。
(2009/08/14 ネットセキュリティニュース)
■少年非行等の概要(平成21年上半期)[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen38/syonenhikou_h21a.pdf