消費者庁は3月31日、「最大99%OFF」などとうたっていた「ペニーオークション」の運営業者3社に対し、景品表示法に基づく措置命令を行った。命令を出された3社は、「ポイントオークション」を運営するDMM.com(東京都渋谷区)、「凄オク」を運営するアギト(東京都文京区)、「ゼロオク」を運営するゼロオク(東京都港区)。
ペニーオークションは、入札のたびに50~75円程度の手数料を支払うタイプのオークションのことをいう。入札は通常0円から始まり、入札単価は1~15円程度と定額で固定。入札が続くと終了時間が自動的に延長されるため、入札は際限なく続き、たとえ落札できても落札価格のほかに多額の手数料がかかったり、落札できずに手数料だけを支払うことになる場合もある。
3社のサイトは、家電などが数千円の激安価格で入手できるかのうように表示していたが、各社のサービスを利用しても、必ずしも商品が安価に入手できるとは限らず、商品の価格が必ずしも安価になるともいえない。同省は、このような表示は、サービスの内容が実際のものよりも著しく優良であると示す(優良誤認)ものであり、出品された商品の取引条件も実際のものより著しく有利であると誤認される(有利誤認)不当な表示だと認定。不当表示だったことを一般消費者に周知徹底するとともに、再発防止策を講じ、今後、同様の表示を行わないよう命じた。
3社の運営サイトには、31日時点では措置命令が出された旨の告知は無いが、「ポイントオークション」と「凄オク」は、同日までに指摘された表示を修正。「ゼロオク」は、同日付でサービスを終了した。
■「激安オク」「みんなのオークション」も不当表示
同省は3社のほかに、Innovative Auction(香港)が今年2月末まで運営していた「激安オク」と、MEDIATRUST(東京都渋谷区)が今年1月末まで運営していた「みんなのオークション」についても、同様の不当表示があったと発表した。
いずれもサービスを終了していることに加え、Innovation Auctionは日本に拠点がないこと。MEDIATRUSTは、登記上の本店所在地が存在せず、同社と連絡が取れないことから、これら2社に対しては措置命令を行っていない。
「激安オク」は、ヤスオク(東京都渋谷区)が運営していた「ヤスオク」を、同社が昨年2月に事業譲受したもの。今年1月末には、定価3750円の商品に対し6万705円まで入札が繰り返されるという異常事態が発生し、運営側が仕掛けた不正入札用のボットの暴走が疑われた。サービス終了は、その直後の告知だった。
MEDIATRUSTは、「みんなのオークション」のほかにも「デジオク」「ビッドラッシュ」「プレオク」「ラクサツ」など複数のペニーオークションサイトを運営。今年1月末に、これら全てが一斉に閉鎖された。
今年1月に本通信でもとり上げたように、ペニーオークションのサービス終了に際しては、「ポイント」や「コイン」などと呼ばれるサイト内でのみ有効な通貨が返金されないという問題がある。このコインは、入札時に必要な手数料にあたるもので、参加者は予めコインをまとめて購入しておき、入札に参加する。サービス終了時には、購入したコインが未使用のまま残っているユーザーもいるのだが、突然のサービス終了であっても、規約を盾に返金に応じなかったり、連絡すら取れなくなってしまう運営者が多いのだ。
今回、同省から不当表示の指摘があった5社のうち、3社がサービスを終了しているが、いずれも購入済みの未使用コインの返金は行っていない。
(2011/04/01 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:消費者庁】
・いわゆる「ペニーオークション」運営業者に対する景品表示法に基づく措置命令について[PDF]
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/110331premiums_1.pdf