総務省は4日、スマートフォンを安心・安全に利用できる環境を整備するため、利用者情報の扱いやサービス提供の適正なあり方、アプリ利用の際の留意事項などをまとめた提言「スマートフォン安心安全強化戦略」を公開した。公開資料の中から、青少年のための提言部分をご紹介する。
同省は2012年12月から「スマートフォン時代における安心・安全な利用環境の在り方に関するワーキンググループ」で3つの課題を検討していたが、7月4日から8月2日まで募集したパブリックコメントの結果を踏まえ、今回発表の提言「スマートフォン安心安全強化戦略」を取りまとめた。
取り組んでいた課題は、「スマートフォンにおける利用者情報に関する課題への対応」「スマートフォンサービス等の適正な提供の在り方」「スマートフォンのアプリ利用における新たな課題への対応」の3項目で、前2項目は事業者に向けた課題の周知啓発、最後の1項目は利用者に向けた情報提供・周知啓発となっている。
■「コミュニケ-ションアプリ」が低年齢層に浸透
従来のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は、中学生から高校生、大学生、社会人ともほぼ偏りなく普及しているが、スマホアプリとして普及し、利用者間の無料通話やメッセージのやりとりなどが可能な「コミュニケ-ションアプリ」は、中学生・高校生への普及が著しく、この年代への影響が大きい。調査では、SNSを「ほぼ毎日」使っている人は、中学生83%、高校生86%、大学生87%、社会人81%とすべて8割台だが、コミュニケーションアプリの場合は、中学生92%、高校生80%、大学生71%、社会人48%と、低年齢層が圧倒的に多い。
■無線LANでのアクセス、悪質アプリに注意
無線LAN経由の接続ではフィルタリングがかからない場合があり、その認識は青少年(6割)より保護者(4割)が低いという問題がある。また、アプリの中には第三者機関の認定を受けていないものも存在する。こうした問題の解決には、事業者が取り組むべき課題と共に、保護者・青少年が、フィルタリングかかからないことのリスクを知り、その対応について正しい理解をすることが大切だ。提言では、無線LAN経由アクセスの場合の閲覧制限、有害アプリの起動制限のために、端末にフィルタリングソフトのインストールが必要としている。
■高校以下の「ソーシャルメディアガイドライン」策定促進が必要
スマホではさまざまな事業者が関わっているため、利用者が自ら情報を収集しなければならず、高いリテラシーの習得が必要になる。そのサポートのため、携帯電話事業者は学校等でリテラシー向上に向けた取組みを、サイト監視事業者は大学生から中高生を対象とした周知啓発活動を実施したい。地域における自律的な啓発活動も必要だ。また、青少年のソーシャルメディア利用拡大で、自分や他者のプライバシー情報を安易に発信してしまい、犯罪被害やネット上の炎上に巻き込まれてしまう場合がある。現在は、大学や企業でソーシャルメディア利用のガイドライン策定が進んでいるが、今後は高校以下のソーシャルメディアガイドラインの策定促進が必要となる。
(2013/09/05 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:総務省】
「スマートフォン安心安全強化戦略」の公表
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban08_02000122.html
・スマートフォン安心安全強化戦略の概要[PDF]
http://www.soumu.go.jp/main_content/000247676.pdf
・第III部 スマートフォンのアプリ利用における新たな課題への対応[PDF]
http://www.soumu.go.jp/main_content/000247655.pdf
・利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会提言「スマートフォン安心安全強化戦略」(案)に対する意見募集
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban08_02000111.html