総務省は3日、青少年のインターネット・リテラシーに関する実態調査を実施し、「青少年のインターネット・リテラシー指標等」として取りまとめ、公表した。スマートフォンでネットに接続している青少年は昨年の48%から75%へと急増しているが、アプリの情報漏えいリスクについて知らない青少年は昨年と変わらず3割以上存在する。
同省は2011年度、青少年がインターネット上の危険・脅威に対応するための能力を数値化するテストを開発し、2012年度から協力校で実施している。今年は6月から7月にかけて全国の高等学校1年生相当(約3500名)に実施し、結果を集計・分析した。
■「違法有害情報」「不適正利用」「プライバシー・セキュリティ」への対応力
インターネット上の危険に対応し、的確な判断をするために必要な能力を数値化するために開発されたテストとは、どんな内容なのか。まず、ネットの危険について、「違法有害情報」「不適正利用」「プライバシー・セキュリティ」という3つの大分類に整理し、それをさらに7つの中分類「1a:違法情報リスク」「1b:有害情報リスク」「2a:不適切接触リスク」「2b:不適正取引リスク」「2c:不適切利用リスク」「3a:プライバシーリスク」「3b:セキュリティリスク」に整理し、それぞれに対する多肢選択式問題を作成。このテスト結果を数値化し、各能力を可視化する。この数値は「青少年がインターネットを安全に安心して活用するためのリテラシー指標」=ILAS(Internet Literacy Assessment indicator for Students;アイラス)と名付けられている。
■ネット接続はスマホが75%、3割以上がアプリの危険性を知らない
青少年がどういうネット環境にあるかをみると、スマートフォン(スマホ)保有者は全体の84%と昨年度(59%)より大幅に上昇していた。インターネット接続に最もよく利用する機器も、スマホが全体の75%と昨年度(48%)より大幅に上昇している。1日あたりの平均使用時間は、スマホ以外の機器は「30分未満」が最多だが、スマホは「2時間以上」が最も多い(56%)。アプリケーション(アプリ)のインストール数は10以上が全体の68%だが、実際に1か月に1回以上使用しているアプリ数は10以下という回答が74%だった。スマホのアプリに情報漏えいの危険性があることを知っている割合は、昨年の61%から64%に向上しているが、知らない割合は、昨年(34%)とあまり変わらず、全体の33%存在する。
■スマホ利用者は正答率低い傾向、学習経験や家庭での話し合いが重要
テストの正答率は、全体で69%と、昨年度(67%)より2ポイント上昇している。最もよく利用するインターネット接続機器別にみと、パソコンをよく利用する青少年の正答率が最も高い(73%)。スマホをよく利用する青少年の正答率は相対的に低く(68%)、そのうちスマホのみを保有している青少年の正答率はさらに低い(64%)という結果となっている。
また、正答率と「ネット上のリスクについて学習意欲の有無」「ネット上のリスクについて学習経験の有無」「ネット上のリスクについて家庭での話し合いの有無」との関係を調べた結果では、学習意欲がある青少年、学習経験がある青少年、家庭での話し合いがある青少年のほうが、相対的に正答率が高いという結果だった。
これらの調査結果から、学習意欲を醸成する環境作りや学習機会を増やすこと、家庭での話し合いを促すため保護者への啓発を推進することなどが、青少年のネット・リテラシー能力を高めるために重要と結論付けている。
(2013/09/04 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:総務省】
・「平成25年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等」の公表
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban08_02000120.html
・平成25年度青少年のインターネット・リテラシー指標等[PDF]
http://www.soumu.go.jp/main_content/000247066.pdf