東京都は6日、「携帯電話を契約するだけで高額なバイト代を払うと知人から持ちかけられ、スマートフォンやタブレットを複数台購入して譲り渡したところ、後に高額な請求がきた」という相談が寄せられているとして、注意を呼びかけた。
■被害例--「7万円の謝礼」と「数十万円の請求」
20歳代の男性は、知人から「通信会社の営業成績をあげる仕事をしているので手伝ってほしい。迷惑はかけない」と言われ、「店員に聞かれたら、営業の仕事を始めるので複数の携帯電話が必要と答えるように」と指南を受けて、携帯電話会社3社からスマートフォン15台を購入。スマートフォンはその場で知人に渡し、アルバイト代7万円を受け取った。後日、携帯電話会社から15万円の請求書が届き、あわてて知人に電話したが、連絡がとれなくなっていた。
20歳代の女性も、知人から「営業成績をあげたい」と同様の誘いを受け、スマートフォンとタブレット計13台をカードで購入。契約書とともにその場で知人に渡し、7万円を受け取った。後にカード会社から33万円を請求され、携帯電話会社との契約が解約されていないことを知り、知人に連絡しようとしたが、連絡がつかなくなっていた。
このような「携帯電話契約の名義貸し」については、これまでにも警視庁、消費者庁、国民生活センター、各地の消費者センターなどから注意が呼びかけられている。
■金銭被害だけでなく、「詐欺罪」で逮捕、犯罪加担の可能性も
実際に使用するつもりも、購入代金や利用料金を支払う意思もないのに、携帯電話等を契約し、販売店からだまし取るこうした行為については、携帯電話販売店に対する詐欺罪が成立する。2014年4月には北海道で、名義貸しを持ちかけた男と、自分の名義でスマートフォン等を購入して男に渡し、代金を支払わなかった大学生ら男女10人が詐欺の疑いで逮捕されている。
「料金は会社が払う」「請求書は無視してもらえばいい」などと言われ、だまされて契約したのだとしても、端末代金や通信料、解約料は名義人が支払わなければならない。払わずに放置していると、もともと自分が使っている携帯電話が使えなくなり、今後、新たな契約ができなくなることもある。
さらに、無断で転売された携帯端末は、振り込め詐欺等に悪用されるおそれがあり、知らないうちに犯罪に加担してしまう可能性もある。
■勧誘する「知人」や「広告」に注意
名義貸しをしてしまうことになったきっかけは、知人や大学の先輩から勧められた、SNSで知り合った人に誘われた、街で声をかけられた、街中の広告を見た、インターネットの掲示板や闇サイトで見つけた、買い物代行員を募集するというメールが届いたなど、さまざまだ。
都は、不審な勧誘を受けた場合は、すぐに最寄りの消費生活センターに相談するよう呼びかけている。また国民生活センターは、自己名義の携帯電話を他人に渡してしまったら、被害の拡大を防ぐため、すぐに携帯電話会社に連絡して利用停止の手続を取るとともに、犯罪に利用される可能性もあることから、警察へ申し出ておくようアドバイスしている。
(2015/03/12 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・「スマホを契約するだけで高額なバイト代」?・・・甘い誘いに注意!~携帯電話等を販売店からだまし取る行為は犯罪です~(東京都)
http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/sodan/kinkyu/150306.html
・携帯電話等を販売店からだまし取る行為は犯罪です!(警視庁)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/haiteku/haiteku/haiteku413.htm
・儲け話に注意!~5.携帯電話契約の名義貸し(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/region/kashikin.html#m05
・アルバイトを口実に携帯電話を契約させられ、高額な料金請求-消費者も刑事責任を問われかねない-(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20080918_3.html
・携帯電話の複数契約の誘いには注意を!![PDF](北海道立消費者センター)
http://www.do-syouhi-c.jp/img/news%20release.pdf
・~アルバイトと持ちかけられた携帯電話やタブレット契約にご注意!~(さいたま市)
http://www.city.saitama.jp/001/012/003/005/001/p037217.html