2015年のサイバー犯罪の検挙件数は前年より191件増加した。ネットワーク利用犯罪では「児童ポルノ」「児童買春」「脅迫」の検挙件数がここ6年間で一度も減少せず増加を続けていること、いったん減少をみせていたオークション利用詐欺がここ2年間で増加に転じていること等が分かった。
警察庁は、「不正アクセス禁止法違反」、「コンピュータ・電磁的記録対象犯罪及び不正指令電磁的記録に関する罪」、「ネットワーク利用犯罪」の3つを合わせて「サイバー犯罪」と呼んでいるが、いずれの検挙件数も前年より微増しており、サイバー犯罪全体では191件の増加となった。サイバー犯罪中で最も多い「ネットワーク利用犯罪」の検挙件数は7483件で、前年より134件増加している。
■増加続ける「児童ポルノ」「児童買春」「脅迫」、再び増加の「オークション詐欺」
「ネットワーク利用犯罪」の内訳をみると、最も多いのは「児童ポルノ」1295件で、2010年の783件以来、883件→1085件→1124件→1248件→1295件と増加を続けてきた。同じくこの6年間に増加を続けているものに「児童買春」と「脅迫」がある。児童買春は2010年の783件以降、883件→1085件→1124件→1248件→1295件へ、脅迫は同じく2010年の67件以降、81件→162件→189件→313件→398件へ、一度も減少することなく増え続けている。
2015年で2番目に検挙件数が多い犯罪は「詐欺」951件で、このうち5割以上を占める511件が「オークション利用詐欺」だ。オークション利用詐欺は2010年の677件以降、389件→235件→158件と減少してきたが、2014年には381件と増加に転じ、2015年もさらに130件増えた511件になってしまった。
2015年で3番目に検挙件数が多い犯罪は「わいせつ物頒布等」835件、以下「青少年保護育成条例違反」693件、「著作権法違反」593件と続く。
■案じられる青少年によるサイバー犯罪
警察庁は検挙事例として4件を紹介しているが、うち2件は18歳と19歳の少年によるものだ。19歳の無職少年は、掲示板サイトで入手した他人のIDとパスワードを使って会員向けサービスに不正アクセスし、他人の登録メールアドレスを変更。不正アクセス禁止法違反等で検挙されている。18歳の少年は、身代金要求型ウイルス「ランサムウェア」作成ツールを、ランサムウェ配付目的で保管していた等として、不正指令電磁的記録保管等で検挙されている。
■「相談件数」は前年より1万件増、過去最多に
都道府県警察の相談窓口に寄せられるサイバー犯罪に関する相談件数は12万8097件となり、過去最高だった前年の11万8100件を1万件近く上回り、過去最高を更新した。
相談内容の最多は「詐欺・悪質商法」6万7026件で、「迷惑メール」1万6634件、「名誉毀損・誹謗中傷等」1万398件、「ウイルス」7089件、「オークション」6274件、「違法・有害情報」4854件など。
詐欺・悪質商法に関する相談では、ネットショッピングで商品を購入して指定口座へ代金を支払ったが商品が届かず相手とも連絡が取れないという例、登録した覚えのない有料サイトの料金を請求されたという例が紹介されている。名誉毀損、誹謗中傷に関する相談では、掲示板サイトに個人を誹謗中傷する内容を書き込まれた、無断で顔写真を掲載されたという例が、また不正アクセス等に関する相談では、オンラインゲームのアカウントを乗っ取られゲーム内のアイテムを勝手に利用されたという例が紹介されている。
(2016/03/23 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:警察庁】
・平成27年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢について
http://www.npa.go.jp/kanbou/cybersecurity/H27_jousei.pdf