警察庁は2日、振り込め詐欺など「特殊詐欺」の2016年の被害状況をまとめ、発表した。インターネットがらみの被害に多い「架空請求詐欺」は、2012年以降続いていた増加に、ようやく歯止めがかかってきた。
特殊詐欺は、オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺の4類型から成る「振り込め詐欺」と、「金融商品等取引名目の詐欺」、「ギャンブル必勝法情報提供名目の詐欺」、「異性との交際あっせん名目の詐欺」、「その他の特殊詐欺」の計8類型を総称したものを指す。
■架空請求詐欺は5年ぶり減少、特徴は「高齢層以外」にも広がる被害
2016年に全国の警察が認知した特殊詐欺は1万4151件(前年比+327件、+2.4%)で、前年から微増。被害額は406.3億円(-75.7億円、-15.7%)と2年連続で減少したものの、依然として高水準が続いている。特殊詐欺全体の約4割を占める最も多い手口がオレオレ詐欺で、認知件数は5737件(-91件、-1.6%)と4年ぶりに減少、被害額は166.0億円(-9.1億円、-5.2%)で7年ぶりに減少した。
次いで多い手口が架空請求詐欺で、インターネットがらみの特殊詐欺被害の多くがこれだ。1年間の認知件数は3759件(-338件、-8.2%)、被害額は158.2億円(-29.4億円、-15.7%)で、どちらも5年ぶりに減少した。オレオレ詐欺の被害者が高齢者に集中しているのに対し、架空請求詐欺は高齢者以外の年齢層にも被害が広がっているのが特徴だという。
■増え続ける「有料サイト利用料金」詐欺、電子マネー使用ケースが増加
ネット上の代表的な架空請求詐欺といえば、有料サイトの利用料金が支払われていないなどといってメールやSMSを送りつけてくるタイプと、アダルトサイトなどでクリックしていくと、突然「登録完了しました」という画面になり、高額な料金を請求されるタイプだ。これらは、架空請求詐欺の中の「有料サイト利用料金等名目」に分類されており、認知件数の約半分を占めている。
2012年以来続いていた架空請求詐欺被害の増加が、ようやく減少に転じた2016年だが、この「有料サイト利用料金等名目」だけを見ると、1861件(前年比+338件、+22.2%)と相変わらず増え続けている。新たな支払い手段として、電子マネーが使われるケースが増えているのも、この「有料サイト利用料金等名目」の架空請求詐欺の特徴だ。コンビニエンスストアで販売されているウェブマネーやアマゾンのギフト券などのプリペイドカード(マルチメディア端末で出力するシートタイプもある)を購入するよう指示し、記載された番号を撮影しメール送信させたり、入力させたり、電話で通知させたりする。この番号を伝えてしまうと、購入した電子マネーが全て相手に渡ってしまうので注意したい。電子マネーの購入や番号を伝えるよう指示されたら、詐欺だと疑おう。
警察庁のまとめでは、電子マネーを使う手口は、認知件数1267件、被害額7.7億円で、いずれも増加しており、大半がこの「有料サイト利用料金等名目」の架空請求詐欺によるものという。
(2017/02/07 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・平成28年の特殊詐欺認知・検挙状況等について[PDF]
https://www.npa.go.jp/sousa/souni/hurikomesagi_toukei2016.pdf
・振り込め詐欺を始めとする特殊詐欺の被害状況(警察庁)
http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki31/higaijoukyou.html