セキュリティブランドのマカフィーとノートンが、子どものネット利用に関する興味深い調査レポートを公開している。日本の保護者が世界の平均と比べ、子どものネット利用に関して放任気味であることや、ネットいじめを気にかけつつも、とくに対策を講じていないことなどが示されている。
■日本の保護者は子どものネット利用に対し”放任気味”
「マカフィー」ブランドの製品を提供するインテル セキュリティは今年1月、世界14か国1万3000人 (18~55歳以上、このうち日本人は1000人)を対象に実施したアンケート調査結果を発表した。日本の親は、子どものインターネット接続デバイス(以下、デバイス)の利用に対し放任気味であることがわかる結果となった。
・デバイスは保護者自身が管理し、自分の目の届く範囲でしか子どもに使わせないと回答した保護者の割合は14か国平均35%だが、日本は20%だった。
・子どものインターネット上での行動を監視するソフトウェアを導入している保護者の割合は14か国平均23%だが、日本は8%で、14か国中最下位だった。
・子どもがインターネット上で「SNS上の危険人物」やサイバー犯罪者と交信する可能性を心配している保護者の割合は14か国平均80%だが、日本は61.5%で、オランダに次いで2番目の低さだった。
・子どもがデバイスを使用する時間について、制限していないと回答した保護者の割合は14か国平均31%だが、日本はそれを上回る45%だった。
・子どもがデバイスから不適切なWebサイトにアクセスしているのを発見した保護者の割合は14か国平均34%だが、日本は17%で、半分にとどまる。
・子どもがデバイスを寝室やベッドに持ち込むことを認めている保護者の割合は14か国平均76%と多いが、日本はそれを上回る79%だった。
・子どもにインターネット上のリスクについて話したことがあると回答した保護者の割合は14か国平均約85%だが、日本は64%で、14カ国中最下位だった。
こうした調査結果から同社は、日本の保護者は他国と比較して子どものデバイスの使用に対して放任気味であり、インターネット上の危険、子どもに対する差し迫った危険を十分には認識していない状況にあると指摘。子どもがインターネットに触れる早期の段階で、そのリスクについて教えてあげるようアドバイスしている。
■保護者が心配する子どもの”ネットいじめ”
「ノートン」ブランドの製品を提供するシマンテックは今年2月、世界21か国の18歳以上2万907人(うち8336名が子どもを持つ保護者)を対象に実施したネットいじめに関する調査結果を発表した。このうち日本人は1002人(うち保護者211人)。
世界の保護者の60%(日本は42%)が、子どもに対して10歳以前にインターネットの利用を許可しているが、保護者のほぼ半数(世界平均48%、日本50%)が、子どもは公園よりもインターネットでいじめにあいやすいと回答している。その一方、世界の保護者の10人に1人(11%)、日本は5人に1人(20%)が、子どもがインターネットを利用するにあたって何も対策を講じていないという調査結果も明らかになった。
同社は、保護者がネットいじめの兆候をキャッチするための情報、保護者と子どもが会話を始めるためのヒントをまとめたハンドブック(下記)を無料で公開している。
・ネットいじめ対策親子ガイドブック[PDF]
https://japan.norton.com/ns/bullying/assets/pdf/Cyberbullying_Ebook_v11_JP_0208.PDF
ネットいじめの兆候を学び、子どもとオープンなコミュニケーションをとる方法を知っておけば、子どもを救うことができるとし、「ネットいじめとは」「媒体と手口」「ネットいじめの兆候」「大切なこと:話し合う」「質問でチェック:ネットいじめ」「ネットで使われている俗語」などが全15ページにまとめられている。イラストはすべて、ネットいじめを受けた11歳から18歳 までの子どもが描いたものという。
(2017/02/10 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・インテル セキュリティ調査 家庭内でのインターネット接続デバイス普及とともに、新たな課題が明らかに~インターネット上のリスクについて子どもと話したことがある保護者の割合が調査対象14カ国で日本が最下位、家庭内でのセキュリティ意識の向上が課題 ~(インテル セキュリティ)
https://www.mcafee.com/jp/about/news/2017/q1/0130-01.aspx
・保護者の多くが子どもは公園よりもインターネットでいじめに遭いやすいと懸念
ネットいじめに関する保護者の認識や不安をまとめた「ノートン サイバーセキュリティ インサイト レポート」を公開 (シマンテック)
https://www.symantec.com/ja/jp/about/news/release/article.jsp?prid=20170208_01