プリペイド式のデータ通信カードを唯一販売する日本通信(本社:東京都品川区)は14日、同カードに本人確認システムを導入すると発表した。同日付で警察庁から受けた協力要請に応えたもので、導入の目処は7月。
本人確認が必要となるのは、同社の「bモバイル」。通信料とインターネット接続料込みで販売されているプリペイド(前払い)式のPHSデータ通信カードで、パソコンに差し込むだけでインターネットにアクセスできる。本人確認システムの導入後は、製品や更新パッケージの利用開始前に、携帯電話やPHSから専用番号に電話をかけることにより、それらの番号を登録する。
警察庁の総合セキュリティ対策会議がまとめた「平成18年度総合セキュリティ対策会議報告書」によると、2005年に全国の警察が認知した不正アクセス行為は592件だが、このうち212件(35.8%)について、匿名性が障害となり、捜査が進展していない。インターネットカフェ、プリペイド式データ通信カード(上記)、無線LANのフリースポット等、本人確認をしない限り利用者を特定できないサービスや施設が、容疑者の特定を困難にしているためで、同報告書は、インターネットカフェ等での本人確認推進や、無線LANの「ただ乗り」を防ぐための啓発が必要だとしている。
セキュリティ設定が甘い無線LANアクセスポイントを探し出し、そこからネットに接続する「ただ乗り」行為が絡んだ事例としては、ただ乗りした上に他人のIDやパスワードを使ってオンラインゲームに不正ログインし、ゲームのアイテムを結んだ男(23歳)が、今月10日に不正アクセス禁止法違反の疑いで逮捕されている。
(2007/05/15 ネットセキュリティニュース)
■「bモバイル」製品における本人確認システムの導入について[PDF](日本通信)
http://www.j-com.co.jp/ir/pdf/press_070514.pdf
■ 総合セキュリティ対策会議 平成18年度報告書[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/csmeeting/h18/image/pdf18.pdf