山口県光市で99年、主婦と長女が殺害された事件をめぐり、被告の弁護人に対して懲戒処分を求める請求活動がインターネット上で広がり、弁護人の所属する法律事務所や弁護士会に請求が多数寄せられている。この件に関し、有志の弁護士508人は19日、「被告が弁護を受ける権利を否定する言動に抗議し、直ちに中止を求める」との緊急アピールを発表した。
この懲戒処分請求活動は、先月27日に放送されたテレビ番組で、出演者が事件の弁護人に対する懲戒処分を煽る内容の発言があり、社会的関心の高さを背景に、複数のサイトで取り上げられたことがきっかけになっている。
ネット掲示板では、殺害理由を弁護する主張内容が、被害者の人権を侵害する非常識なものであるとして、「被害者感情に配慮すべき」「死刑回避のために意図的に裁判を遅らせている」といった弁護人に対する批判的な意見が目立った。このうち一部が懲戒処分を呼びかけ、弁護人21名の所属する法律事務所や弁護士会の連絡先、懲戒処分請求の書面フォームなどが出回り、これらを掲載する「まとめサイト」も作られた。このフォームを使用した請求が、各弁護人の所属弁護士会宛てに計数百件届いているという。
同アピールでは、過去の最高裁判例を挙げ、「いたずらに懲戒請求を行い、これを煽る行為は違法であり、直ちに中止することを求める」などと呼び掛けている。またネット上でも、懲戒処分を求める批判的な意見と同時に、活動の中止を呼びかける声もあがっている。日弁連では、こうした懲戒請求の有無について「答えられない」としている。
■日本弁護士連合会
http://www.nichibenren.or.jp/
(2007/06/21 ネットセキュリティニュース)