情報処理推進機構セキュリティセンター(IPA/ISEC)は9日、「ワンクリック不正請求」に関する相談件数が今年6~8月の3か月連続で最多件数を更新し続けていることをうけ、注意喚起を行った。
IPAに寄せられたワンクリック不正請求に関する相談件数は、昨年10月に369件で最多件数を更新したが、11月にツークリック詐欺を行っていた出会い 系業者らが逮捕(6名に執行猶予付き有罪判決~9月9日千葉地裁)されたのち、翌12月には数十件まで激減した。ところが、今年3月あたりから徐々に増え 始め、6月は372件、7月は457件、8月は545件にのぼり、最多件数を更新し続けている。
ワンクリック不正請求に関する主な相談 内容は、アダルトサイトなどで動画を見ようとして再生ボタンをクリックしたところ、請求書を表示する画面がデスクトップに貼り付いて削除しても繰り返し表 示されるというもの。IPAは、被害者が動画を再生しようとしてWindowsの警告画面を無視してクリックを繰り返したために不正なプログラムをダウン ロードしてしまっていると指摘している。
IPAが被害者から報告を受けたいくつかのアダルトサイトを調査したところ、動画の再生ボタン などをクリックすると「ファイルのダウンロード-セキュリティの警告」画面が表示されたという。通常、再生ボタンをクリックすれば動画が再生されるはず が、セキュリティ警告画面が表示されるということは、サイト運営者がユーザーに何らかプログラムをダウンロードさせようとしているためだ。また、上記のセ キュリティの警告画面で「実行」ボタンをクリックしたり「保存」ボタンで保存したファイルを実行しようとすると、本当にソフトウェアを実行するかどうかの 警告画面が再度表示される。ここで「実行する」ボタンをクリックすると、不正なプログラムがダウンロードされ、請求画面が繰り返し表示されるようになって しまう。
IPAは、被害にあわないためにはアダルトサイトに行かないことが最大の対策としている。また、最近はペットの写真や芸能人の 情報、アニメの情報、ゲームの攻略サイトなどからアダルトサイトに誘導されるケースも増えていることから、一般サイトを閲覧中にアダルトサイトが表示され ても興味本位でボタンをクリックしたりせず、すぐに引き返すよう注意を呼びかけている。
また、請求書が表示されてしまった場合の対処法として、慌ててお金を振り込んだり請求書の連絡先に問い合わせたりせず、パソコンの再起動やシステムの復元、パソコンの初期化などを行って、請求は無視するように勧めている。
ただし無視しておいてよいのはワンクリック不正請求の場合で、ツークリック不正請求のように料金や利用規約などを紛れ込ませてあるケースもある。東京都が ツークリック不正請求のサンプルサイトを公開しているので参考にしていただきたい。また、裁判所から書類が郵送されて来た場合は、無視すると不利益を被る こともある。このような場合は、最寄りの消費生活センターや国民生活センターに相談することをお勧めする。
(2008/09/16 インターネット・セキュリティニュース)
■【注意喚起】ワンクリック不正請求に関する相談急増!パソコン利用者にとっての対策は、まずは手口を知ることから!(IPA)
http://www.ipa.go.jp/security/topics/alert20080909.html
■被害にあわないために架空請求を防ぐ(東京都)
http://www.anzen.metro.tokyo.jp/net/prevent.html
■督促手続・少額訴訟手続を悪用した架空請求にご注意ください(法務省)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji68.html