ゲームサイトやSNS、プロフなどの非出会い系サイトを利用して犯罪被害にあう子どもたち(18歳未満の者)が増え続けていることが、警察庁のまとめでわかった。
警察庁が19日に公表した「平成22年上半期のいわゆる出会い系サイトに関係した事件の検挙状況について」によると、全国の警察が今年上半期に検挙した出会い系サイトに関係した事件の検挙件数は、前年同期比16.5%(106件)減の538件。犯罪被害にあった児童は前年同期比46.8%(124人)減の141人と、ここ数年来の減少傾向が続いている。一方、非出会い系サイトを利用して犯罪被害にあった事件の検挙件数は、前年同期比15.7%(99件)増の730件。犯罪被害にあった児童は、前年同期比10.3%(56人)増の601人と増加を続け、ともに出会い系サイトを上回る結果となった。
出会い系サイトでは、児童買春の被害児童が全体の58.2%にあたる82人を占めるのに対し、非出会い系サイトでは青少年保護育成条例違反が62.9%の378人(出会い系:17.7%、25人)と最も多く、次いで児童買春が17.8%の107人(出会い系:58.2%82人)、児童ポルノが13.8%の83人(出会い系:5.7%、8人)と続く。被害児童の大半は女子だが、601人中24人が男子だ(出会い系:141人中1人)。非出会い系サイトでは低年齢化も顕著で、14歳以下の被害児童が出会い系15.6%(22人)に対し、非出会い系では30.6%(184人)を占めている。
児童買春の被害児童が最多を占める出会い系サイトでは、出会い系サイト規制法違反での検挙件数が207件(全体の38.5%)と最も多い。207件のうち205件は相手を誘う禁止誘引行為で、うち148件が児童からの誘引。現実の社会と同様、それと知りながら自ら飛び込んで行く子供たちの存在が浮かび上がって来る。同様の行為は、コミュニケーション機能を持つ非出会い系サイトでも行われているが、低年齢化などが示すのは、それと知らずに利用していて被害にあってしまう子どもたちの存在ではないだろうか。
【フィルタリングがはじかない「認定サイト」でも危険は多い】
今年2月、16歳少女の強姦容疑で福岡の暴力団組員の男(24歳)が逮捕された。男は女性を装ってサイトに登録して少女を誘い出し、女性の弟と偽って少女を車に乗せて犯行に及んだという。このサイトは、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)の認定サイトのひとつになっているため、フィルタリングの規制対象外となっている。認定サイトは安全と思われがちだが、人が集まるところには悪い人間も集まって来るため、以前から犯罪が絶えず、4月には、女子中学生の児童買春容疑や女子高生に対する青少年保護育成条例違反容疑での逮捕者も出ている。先頃、女子高生が出産直後の男児を殺して捨てるという痛ましい事件があったが、女子高生が男児の父親と知り合ったのも、このサイトだったという。
見るからに怪しげなサイトや危険なサイトは、フィルタリングが排除してくれる。たとえフィルタリングから漏れてアクセスできたとしても、警戒心が危険を避ける方向に導いてくれるかもしれない。ところが、子どもたちが被害に巻き込まれるサイトには、そのような雰囲気など微塵もない、普通の子どもたちが普通に利用できてしまうところも多い。そのようなサイトでも犯罪は多数起きており、ごく普通の子どもたちが道を踏み外してしまう、大きな危険が潜んでいる。
人気サイトの多くは、一見そうは見えないところでも、どこかに出会いの場という面を持つ。不特定多数が集う出会いの場は、常に危険と背中合わせだということを、親も子も認識しておかなければいけない。
(2010/08/27 ネットセキュリティニュース)
■平成22年上半期のいわゆる出会い系サイトに関係した事件の検挙状況について[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h22/pdf02-1.pdf