警察庁は13日、児童のインターネット上の不適切な書き込みをサイバーパトロールによって発見し、注意・指導する「サイバー補導」の現状と今後の取組みについて発表した。
サイバー補導は、2013年4月に試行が始まり、同年10月から全国で実施されるようになった。捜査員は、インターネット上で援助交際を求めたり下着の売買を持ちかけたりする書き込みをサイバーパトロールによって見つけ出し、立場を伏せて児童と接触して注意・指導を行う。2014年末までに、13歳から17歳までの児童597人が補導された。
不適切な書き込みによって大人と出会い、児童買春等の被害にあう可能性がある児童を保護し、非行を未然に防ぐことが、サイバー補導の最大の目的だ。また、補導した児童の約半数は過去に児童買春等の福祉犯被害にあっていることから、その聴取情報を基に、児童買春等の検挙に至る例も少なくないという。
■補導された児童の6割以上は非行・補導歴がない
これまでに補導された児童597人のうち、援助交際目的の書き込みは366人(うち男子24人)、下着売買は223人(うち男子1人)、両方を求める書き込みは8人が行っていた。児童の年齢は、13歳(13人)、14歳(34人)、15歳(85人)、16歳(212人)、17歳(253人)で、女子高校生(389人)が全体の65%を占める。児童の6割以上は非行・補導歴がないが、援助交際目的の児童は下着売買目的の児童と比べ、非行・補導歴をもつ割合、有職・無職(中学・高校、専門学校の生徒ではない)の割合が多くなっている。
■書き込みはスマホ利用97%、コミュニティサイト利用95%
補導された児童の97%(2014年4月以降に調査した330人中の320人)は援助交際等の書き込みにスマートフォンを使用している。また、補導された597人のうち567人(95%)がコミュニティサイトに書き込んでおり、出会い系サイト利用は30人と少ない。コミュニティサイトの内訳は、無料通話アプリのIDを交換する掲示板利用が460人、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)利用が107人だった。
サイバー補導は街頭での補導とは異なり、児童と接触できないことがあるなど手間がかかるという。しかし、非行を未然に防ぐことで保護者から感謝されたり、児童への継続的な助言・指導により問題行動が改善されたりするなどの効果をあげている。警察庁は今後も、実施方法を工夫するなどしてサイバー補導を積極的に推進していく方針だ。また、これまでの事例等を参考に、効果的な児童の立ち直り支援について検討していくという。
(2015/03/18 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:警察庁】
・サイバー補導の現状と今後の取組について[PDF]
http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen/cyberhodou/genjototorikumi.pdf