警察庁は12日、2014年のサイバー犯罪の状況について発表した。検挙件数は前年よりやや減少したが、「ネットワーク利用犯罪」は10%増加した。また、サイバー犯罪に関する相談件数は前年より約4割増加し、過去最高を記録した。
■「ネットワーク利用犯罪」1割増、昨年11月「リベンジポルノ防止法」成立
2014年中のサイバー犯罪(注1)の検挙件数は7905件で、前年比208件(2.6%)の減少となったが、これは「不正アクセス禁止法違反」364件、「コンピュータ・電磁的記録対象犯罪及び不正指令電磁的記録に関する罪」192件が、それぞれ前年比で63%、60%減少したことによるもので、サイバー犯罪中で最も多い「ネットワーク利用犯罪」7349件は、前年より10%増加している。
「ネットワーク利用犯罪」の最多は「児童ポルノ」1248件で、以下「詐欺(オークション利用詐欺含む)」1133件、「わいせつ物頒布等」840件、「著作権法違反」824件、「青少年保護育成条例違反」657件、「児童買春」493件、「脅迫」313件などとなっている。
2014年は元交際相手の裸の画像をネット上に流出させて逮捕に至った例(名誉毀損罪)、「裸の写真をインターネット上にばらまく」などと脅したり復縁を迫ったりして逮捕された例(脅迫罪・強要未遂罪)が発生した。こうしたいわゆる「リベンジポルノ」と呼ばれる嫌がらせを防止する法律(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)が、2014年11月に成立した。今年1月には、同法違反で初の逮捕例が出ている。
(注1)サイバー犯罪:高度情報通信ネットワークを利用した犯罪やコンピュータまたは電磁的記録を対象とした犯罪
■「相談件数」過去最多、海外偽サイトによる被害も多発
都道府県警察の相談窓口に寄せられるサイバー犯罪に関する相談件数が10万件を突破し、過去最高となった。前年の8万4863件から11万8100件に急増したもので、相談内容は「詐欺・悪質商法」2万2103件を筆頭に、「迷惑メール」1万4185件、「名誉毀損・誹謗中傷等」9757件、「ウイルス」9550件、「オークション」8545件、「違法・有害情報」5080件など。
警察庁はインターネット利用にかかわるリスクが拡大している例として、「リスト型攻撃」「危険ドラッグ」「SNSの利用」などとともに、インターネットオークション詐欺の急増を挙げている。オークション詐欺被害は年々減少していたが、2013年中の被害件数は前年の約2倍、2014年は過去最高の3234件を記録したという。また、海外サーバーを通じてネット上に掲載された、実在企業のサイトを模したサイトや、ネットショッピングに係る詐欺や偽ブランド品販売を目的とするサイト(以下、海外偽サイト等)にかかわる被害も多発していることから、同庁は都道府県警察が相談等で受理した海外偽サイト等のURLなどを集約。ウイルス対策ソフト事業者等に提供し、これらのサイトを閲覧しようとする利用者のコンピュータ画面に警告を表示する対策を、2013年12月より実施している。
このほか、警察が把握した「標的型メール攻撃」1723件は前年比約3.5倍増、「不審アクセス」491.6件は前年比58.5%増、インターネットバンキングの不正送金が過去最悪の約29億1000万円となるなど、サイバー犯罪の活発化が改めて確認された。
(2015/03/17 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:警察庁】
・平成26年中のサイバー空間をめぐる脅威の情勢について[PDF]
http://www.npa.go.jp/kanbou/cybersecurity/H26_jousei.pdf
・「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」施行
http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/shiseigazouboushi/index.html