警察庁は、インターネット上の違法・有害情報の通報受付窓口であるインターネット・ホットラインセンターの2014年中の運用状況について発表した。通報件数は前年より1万9632件増加し、「違法情報」3万5013件のうち1万6799件が警察へ通報され、882件が検挙された。
インターネット・ホットラインセンター(以下、IHC)は、一般のインターネット利用者やサイバーパトロール事業者からネット上の違法・有害情報の通報を受け、警察庁への通報やサイト管理者への対応依頼、関係機関・フィルタリング事業者への情報提供などを、警察庁からの委託を受けて行っている。
■IHCの通報受理:「違法情報」3万5013件、「有害情報」3874件
2015年中にIHCが受理した通報件数は15万352件で、前年より1万9632件増加した。うち「違法情報」は3万5013件、「有害情報」は3874件で、前年に比べ前者は4642件、後者は446件増加している。
「違法情報」3万5013件の内訳をみると、桁違いで多いのは「わいせつ電磁的記録媒体陳列」の2万8502件で、以下「児童ポルノ公然陳列」2584件、「出会い系サイト規制法」1146件、「規制薬物の広告」1019件、「預金通帳の譲渡等」526件、「識別符号の入力を不正に要求」350件、「指定薬物の広告」310件、「売春目的等の誘引」279件、「薬物犯罪等の実行等」180件、「携帯電話の無断有償」109件が続く。
「有害情報」3874件の内訳は、「違法行為の誘因等」2927件、「違法情報の疑い」932件、「自殺に誘引・勧誘」26件である。
■サイト管理者等の削除対応:「違法情報」95%、「有害情報」65%
受理された案件の処理状況をみると、違法情報の国内案件1万7351件のうち552件が通報前に削除され、1万6799件が警察へ通報された。このうち8303件がサイト管理者等に削除依頼され、7890件が削除された(削除率95.0%)。なお、通報された違法情報のうち検挙されたのは、882件である。有害情報については、国内案件1260件のうち866件に削除依頼が出され、うち564件が削除された(削除率65.1%)。
■国際組織と連携して海外案件に対応
違法情報のうち半数を超える1万7662件は海外案件で、うち1157件が国際的ホットライン連絡組織の「INHOPE」へ通報されている。INHOPEは2015年3月末時点で51団体(45の国・地域)が加盟しており、IHCの通報受理件数のうち1583件はINHOPE加盟団体からの通報だ。海外案件の検挙事例としては、海外事業者が運営するサイトに児童ポルノ画像を投稿した例、海外事業者が管理するサーバーに掲示板を開設しわいせつ動画を掲載した例が挙げられている。
IHCは今後も、こうした海外サイトの国内関係者の取締りをはじめ、国内外の違法情報・有害情報対策を推進していくとしている。
(2015/05/18 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・平成26年中の「インターネット・ホットラインセンター」の運用状況等について[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h26/pdf03-2.pdf
・インターネット・ホットラインセンター
http://www.internethotline.jp/