警察庁は28日、2015年の「特殊詐欺」の被害状況をまとめ、発表した。特殊詐欺に含まれ、インターネットがらみの被害が多発している「架空請求詐欺」は、過去最悪を記録した前年からさらに10億円増える結果となった。
特殊詐欺は、オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺の4類型から成る「振り込め詐欺」と、「金融商品等取引名目の詐欺」、「ギャンブル必勝法情報提供名目の詐欺」、「異性との交際あっせん名目の詐欺」、「その他の特殊詐欺」の計8類型を総称したものを指す。
昨年1年間の特殊詐欺の被害総額は476億8千万円で、前年よりも88億7千万円減ったものの、依然として高水準で推移している。インターネットがらみの被害が多発している架空請求詐欺に関しては、185億9千万円と、過去最高額を記録した前年からさらに10億円増える結果となった。
■2つの手口~メール型(架空請求メール)とWeb型(ワンクリック詐欺)
ネットがらみの代表的な架空請求詐欺といえば、有料サイトの利用料金が支払われていないなどといってメールやSMSを送りつけてくるタイプと、アダルトサイトなどでクリックしていくと、突然「登録完了しました」という画面になり、高額な料金を請求するタイプがある。後者のいわゆるワンクリック詐欺に関しては、昨日の本通信記事(帰ってきた「元祖ワンクリック詐欺」に注意:URL下記)で最近の状況をお話ししているので、参照いただきたい。
メールやSMSを使った架空請求詐欺の多くは、突然知らない相手から、よくわからない情報サービスの料金が支払われていないという話が舞い込み、払わなければ訴訟するなどの脅し文句を並べて電話連絡させようとするのが定番だ。
■「国民消費生活組合」名乗る架空請求メール~「マイナンバー」で不安あおる
消費者庁が今月22日に注意を呼びかけた「国民消費生活組合」を名乗る架空請求メールでは、訴訟履歴がマイナンバーに登録され削除できなくなるという嘘が特徴だ。相手は国民消費生活組合やIKプロジェクトといった架空の名前で、利用したという有料サイトもはっきりしないが、流行のキーワードを入れて不安をあおっている。
同庁が今月18日に注意を呼びかけた、「株式会社DMM.comをかたる業者」からの架空請求SMSの場合には、実在する業者になりすまし、この業者の動画配信サービスを連想させようとするのが特徴だ。業者を知っている方は、利用の有無に関係なく業者に問い合わせようとしてしまうかもしれない。
この手のメールやSMSが送られてきても、決して指定された連絡先に電話を掛けたり、返信メールを送ったりしてはいけない。詐欺師は、連絡してくるだまされやすそうな人を追い込もうと、手ぐすね引いて待っている。
(2016/01/29 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・振り込め詐欺を始めとする特殊詐欺の被害状況(警察庁)
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki31/higaijoukyou.html
・平成27年の特殊詐欺認知・検挙状況等について(警察庁)
https://www.npa.go.jp/sousa/souni/hurikomesagi_toukei2015.pdf
・「国民消費生活組合」を名のる「訴訟履歴がマイナンバーへ登録されます」という内容の不審なメールに御注意ください[PDF](消費者庁)
http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/160122adjustments_1.pdf
・SMSを用いて有料動画サイトの未払料金名目等で金銭を支払わせようとする「株式会社DMM.comをかたる事業者」に関する注意喚起[PDF](消費者庁)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/pdf/160118adjustments_1.pdf
・DMMを装った架空請求について(DMM.com)
http://www.dmm.com/info/inhibition/fictitious.html
・消費者ホットライン(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/region/shohisha_hotline.html
・架空請求対策(STOP!架空請求!)(東京都)
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/torihiki/taisaku/
・架空請求詐欺(警察庁)
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki31/kakuushousai.html