一連の攻撃では、改ざんサイトに埋め込まれたJavaScriptから攻撃サイトのJavaScriptを実行し、Adobe Reader(PDF)とFlashPlayer(SWF)の脆弱性攻撃を仕掛ける。攻撃が成功するとダウンロードしたプログラムが実行され、ウイルス本体がオーディオドライバに紛れ込んでインストールされる。
トレンドマイクロが今月3日に発表した、5月の感染被害報告数ランキングでは、最後に実行されるプログラムおよびインストールされる本体の検出名のひとつ「TROJ_SEEKWEL」が感染被害数186件で初登場、2位にランクインしている。
当該ウイルスは、シマンテックのDaonol、マカフィーのGeneric Downloaderに相当するもので、5月25日~31日の週間ランキングでは「TROJ_SEEKWEL.TO」が初登場1位だ。これは、システムにインストールされるウイルス本体の検出名だが、対応したのが5月25日とあるので、実際に感染していたパソコンが一時に大量に見つかったということだろう。
マカフィーが18日に発表した5月のサイバー脅威の状況でも、関連ウイルスが上位にランクインしている。同社のウイルス対策ソフトは、早くから攻撃サイトに仕掛けられたJavaScriptを「Obfuscated Script.f」という汎用名で検出していたが、これが圏外から急浮上。攻撃の最終段階で投下されるウイルス本体は、「Generic Downloader」「PWS-Cashgrabber」「Generic Dropper」など、その時々で異なる名称で検出されていたが、ランクインしている「Generic.dx」で検出されたタイプも多い。
一連の攻撃が成功し当該ウイルスに感染すると、FTPのアカウント情報を盗み取られるなどの直接的な被害が発生するほか、「.com」「.bat」「.reg」「cmd」「reged」という文字列を含むプログラムの実行が阻止されるため、コマンドプロンプト(cmd.exe)やレジストリエディタ(regedit.exe)が起動しなくなる。また、主要なセキュリティベンダーなどのサイトへのアクセスがブロックされ、ウイルス対策ソフトのインストールや定義ファイルの更新ができなくなるといった障害も生ずる。このため、マカフィーでは5日より「Generic Downloader.dp」専用の駆除ツールの提供も行っている。
「その後の正規サイト改ざん(後篇)」では、その後に報告されている新手の改ざん事例をお届けする。
(2009/06/30 ネットセキュリティニュース)
■インターネット脅威マンスリーレポート - 2009年5月度(トレンドマイクロ)
http://jp.trendmicro.com/jp/threat/security_news/monthlyreport/article/20090603014518.html
■マカフィー、5 月のサイバー脅威の状況を発表(マカフィー)
http://www.mcafee.com/japan/about/prelease/pr_09a.asp?pr=09/06/18-1
■マカフィーのWebページが開けない現象について(マカフィー)
http://www.mcafee.com/Japan/mcafee/support/announcement20090527.asp