IPAは30日、「情報セキュリティに関する脅威に対する意識調査報告書」を公開した。調査はパソコンを使ってネットを使う15歳以上の利用者を対象にWebアンケート方式で行い、有効回答数は5000人。現在セキュリティ上の大きな問題となっているUSBメモリを介したウイルス感染に対する認知度は低く、リスキーな利用者が相当数に上る可能性がある。
●USBメモリーウイルス、利用者の半数にしか認知されず(2009/03/31)
USBメモリーの現在利用者は全体の59.2%を占め、うち28.3%は自分のUSBメモリーを他人のパソコンで、13.8%は他人のUSBメモリーを自分のパソコンで使用している(使用することがある)と回答。USBメモリを介したウイルス感染について尋ねた質問では、「詳しい内容について知っている」と答えた現在利用者は14.1%にとどまり、「概要をある程度知っている」が39.0%、「そのような話題があることを聞いたことがある程度」が32.6%、「全く知らなかった」が14.4%と、利用者の半数にしか認知されていない状況だ。
・USBメモリーで拡散するウイルス
USBメモリーの普及とともに、Windowsの自動実行機能を使い、USBメモリーなどのリムーバブルメディアを介して感染を広げようとするウイルス(ワーム)が増えている。最近ではWindowsの脆弱性を突くワーム(Conficker、Downadup、DOWNADなどと命名)がUSBメモリーを介した拡散機能を装備し、警視庁や東大病院、大阪府羽曳野市役所で数十台から千台という規模のシステム障害を引き起こしている。同じUSBメモリが複数のパソコンで使われる場合には、USBメモリー特有のセキュリティ対策を講じておく必要がある。
調査では、USBメモリー利用者の3人に1人が、USBメモリーのセキュリティ対策を実施しておらず、自動実行の禁止や使用前のウイルスチェックは利用者の20%にも満たないとしている。ただし、これら対策が必須なのはUSBメモリーがパソコン間を行き来する場合であり、自身のUSBメモリーのみを自身のパソコンだけで使用する場合には、USBメモリーを特別視する必要はない。
・USBメモリーのウイルスチェックについて
なお、回答者全体の75.8%が「セキュリティ対策ソフトの導入・活用」を実施していると答えたのに対し、「USBメモリー内のファイルを開く場合には、必ずウイルスチェックをするようにしている」が14.7%と非常に低い点が気になる。ウイルスチェックには、手動で行うファイルベースのチェックと、常駐したウイルス対策ソフトがドライブを常に監視し、開こうとするファイルをチェックするリアルタイムチェックがある。
このリアルタイムチェックはデフォルトで有効になっていることが多く、ファイルでは検出できなかったウイルスが検出できることもあり、より効果が高いのだが、パソコンの動作が遅くなるなどの理由で無効している人もいる。この場合には、ファイルベースのチェックが必須となるが、リアルタイムチェックが有効であるにも関わらず、利用者が意識していないところで行われているために、チェックしていないとした回答者が相当数いたのではないかと推察する。IPAに問い合わせたところ、その辺の事情は今回の調査では分からず、今後の調査の参考にするとの回答だった。
(2009/03/31 ネットセキュリティニュース)
■2008年度第2回 情報セキュリティに関する脅威に対する意識調査の報告書公開(IPA)
http://www.ipa.go.jp/security/fy20/reports/ishiki02/press.html