経済産業省は26日、特定商取引法(特定商取引に関する法律)のオプトイン規制(承諾をしていない者に対する電子メール広告の提供の禁止)に違反したとして、出会い系サイト「愛の方式」を運営していたニュートラルインターネットリサーチ(大阪市淀川区)に対し、同日付で業務改善を指示した。
同省の発表によると、同社は当該サイトのURLが記載された電子メール広告を相手の承諾を得ないで送信。同省では7月31日までに8000件以上の送信メールを確認しており、昨年12月の改正法施行以来の最多を記録。6月と7月の迷惑メール送信件数でも、同社からのものが最も多かった。また、同社が送信したメールの一部には「本メールは提携サイト様及び『愛の方式』の規約に同意された方へのみ配信させて頂いております」と記載し、オプトインの存在を装ったものもあったという。同省は同社に対し、電子メール広告を行う場合には事前に相手からの請求または承諾を得るよう、業務の改善を指示した。
オプトイン規制違反の行政処分は、同省がこれで4件目。他に総務省から2件の処分が出ているが、いずれも運営者がサイトを閉鎖して終了というのが定番となっている。同省の発表によれば、「愛の方式」は今月10日に閉鎖され、同日、新たに「恋愛文書」と称する出会い系サイトが開設されたという。
【ウイルス攻撃や詐欺と同様の目くらまし手法】
編集部の調査では、「愛の方式」「恋愛文書」のいずれも、同社の同じサーバ上で運営されていた。さらに、同社の別のサーバには、「0011abcde」のように2桁の同じ数字2組(4桁)で始まり、適当なアルファベットを並べた「.COM」や「.NET」のドメインが大量に登録。これらドメイン名を検索すると、その一部が、新たに開設された「恋愛文書」をはじめとする出会い系の迷惑メールや、未納料金を求める架空請求メールの記載URLとして使われていることが分かった。 検索でヒットしたものの多くは、すでにデッドリンク状態だったが、時間の経っていない最近のものは、そこから目的のサイトにリダイレクトされるようになっていた。このような手法は、Webベースのウイルス攻撃や詐欺などで、本来のサイト所在を分かりにくくする目的でしばしば用いられる。
なお、処分の対象となった「愛の方式」にしても、単に出会い系へに勧誘する迷惑メールというだけではなく、その後に料金を請求されたり、勝手に登録されたうえ脱会に料金を求められるといった報告などが、ブログや掲示板、Q&Aサイトなどに多数上がっていた。はたしてこれが、オプトインの業務改善だけで済む問題なのだろうか。
(2009/08/28 ネットセキュリティニュース)
■特定商取引法違反事業者に対する行政処分について(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/press/20090826005/20090826005.html