ウイルス感染による情報の流出経路が拡大しはじめている。これまでは、通称「仁義なき○○○○」と呼ばれるウイルス「Antinny(アンティニー)」により、ファイル共有ソフト「Winny(ウィニー)」のネットワーク上へ流出する事故が中心だったが、今月発見された新亜種、通称「シャレタマ」は別のファイル共有ソフト「share(シェア、シャレ、洒落)」にも対応。通称「山田オルタナティブ」は感染したパソコンをWebサーバにし、ハードディスク内をWebブラウザで閲覧可能にしてしまう。そんな、三者三様の流出事故が相次いで発覚した。
■毎日新聞の読者情報6万5,690名分がshareネット上に流出
毎日新聞社(東京都千代田区)と子会社の毎日開発センター(同)は27日、「毎日フレンド」の会員情報6万5,690名分がインターネット上に流出したと発表した。「毎日フレンド」は、1983年に発足した毎日新聞の愛読者組織。今年3月末で終了し、4月からは「まいまいクラブ」に移行している。
流出したのは、昨年10月時点の同組織の会員や販売店を収録したアクセス(マイクロソフトのデータベース)のデータベースファイルと、販売店の営業明細や外勤の給与明細などを記録したエクセルのワークシートファイルなど多数。データベースには、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日、趣味など39項目にわたる会員情報が6万5,690名分記録されていた。流出ファイル名から新型のAntinnyに感染したと見られ、今月19日にshareネット上に流出しているとの報告がインターネットの掲示板に寄せられていた。毎日新聞社によると、同センターの男性社員(26歳)が自宅で作業するために持ち帰り、自宅の私有パソコンに保存していたデータだという。
・個人情報の流出についてのお知らせとお詫び(毎日開発センター)
http://www.my-f.com/mf/
・弊社関係会社からの個人情報流出について(毎日新聞社)
http://www.mainichi.co.jp/information/news/20060427-153414.html
■「山田オルタナティブ」に感染し近畿大学生など24名の個人情報公開
近畿大学(大阪府東大阪市)は18日、同学フィットネス施設「Keep(Kinki University Exercise Enjoy Place)」に設置したパソコン1台が「山田オルタナティブ」に感染し、学生等の個人情報が外部から閲覧可能な状態になっていたと発表した。同学によると、公開されていたのは24名分の氏名と携帯電話のメールアドレス。同学ではただちに処置を施し、現在は問題なく作動しているという。
Antinnyによる流出では、ユーザー間で流出ファイルを持ち合うため、一度流出してしまうと止めることができない。同ウイルスの場合には、感染パソコンからの直接閲覧のみなので、ウイルス対策ソフト等で処置することにより流出そのものを止めることができる。
・個人情報漏洩についてのご報告及びお詫びについて(近畿大学)
http://ccpc01.cc.kindai.ac.jp/honbu/jyoho.html
■長崎市の特養ホーム入所者情報約40名分がWinnyネットワーク上に流出
長崎県長崎市の特別養護老人ホーム「鶴舞苑(かくぶえん)II」を運営する「長崎厚生福祉団」は18日、同ホームの入所者情報約40名分がインターネット上に流出したことを明らかにした。流出していたのは「仁義なき」で始まるファイル名が付けられた、従来型のZIPファイルで、今月中頃にWinnyネット上で発見された。ZIPファイルには、同ホーム入所者の氏名や生年月日、室番号、食事や入浴での介助の必要性などを記載した資料のほか、入所者の画像ファイルや職員約40名分の勤務予定表なども含まれていた。
福祉団によると、同ホーム職員の1人が、自宅の私有パソコンにデータを移して作業をしており、このパソコンから流出したとみられる。福祉団は18日、長崎県と長崎市に報告。県と市は21日までに、福祉施設や医療機関などに対し管理徹底を求める通知を出した。
・長崎厚生福祉団HP
http://www.nagasaki-kouseifukushidan.or.jp/
(2006/04/28 ネットセキュリティニュース)